現代農業は温室栽培なしでは考えられません。 温室栽培は季節に関係なく新鮮な作物を収穫することを可能にします。 しかし、植物は空気の送風と配分が適切に循環されていなければ丈夫に育ちません。 ebm-papstのAxiCoolファンは、この適切な空気循環システムを作りだす最適なファンです。
スーパーマーケットは野菜本来のシーズンまでの長い期間、新鮮な野菜を販売できません。 新鮮でサクッとした歯ごたえの良いトマト、ピーマン、その他の農産物は、農産物生産者においては季節に関係なく、年間を通じて手に入れる事ができます。 冬の間でも夏の環境を作り出すことで可能となり、温室栽培はその方法の1つです(図1)。 これは、消費者と農業従事者の両方に利益をもたらします。 農産者は温室を使用する事により、収穫に至るまでのリスクを最小限に抑えられ、より多くの作物を収穫することができます。保護屋根の下では、天候に起因する不作や雹による作物被害は問題になりません。 大抵はスマート灌漑システムとエアコンを用いる事で、砂漠や寒冷地など自然環境により許されない場所でも植物が繁殖することができます。
空気循環の課題
残念ながら温室内全体を見ると、所どころにコールドスポットまたはホットスポットが発生する事があります。 そのような場所では限られた植物しか成長できないし、作物は病気にかかりやすくなります。 光合成と植物の成長は温度に強く関係します。
寒すぎると、光合成の進行は非常に遅くなり、 暖かすぎるとすぐに止ってしまいます。
ebm-papstのAxiCoolファンにより、空気の流れを正確に制御する事が可能です。
温室全体に均等に分布する必要がある適切な温度は、作物の種類によって異なります。 一方、新鮮な空気の十分な供給と循環は、適切な温度と湿度の維持とともに、作物の豊作につながる重要な要素となります。それが温室内に均一な気候条件を作り出すことを目標とする理由ですが、温室全体に一定の風速で空気を均等に配分し吹き出した後に漂う流れとなる環境にする事です。
水平吹き出し換気システムは、温室内の空気を均等に分配する一般的な方法です(図2)。 この方法では、気流は作物の上を水平方向に流れます。 原則として、新鮮な空気は温室の側面から供給されます。 大変革新的な給気方法としては、下方から換気用チューブ管を使用する方式です(図3)。 この方式により、十分なCO2が作物に確実に行き渡ります。 CO2が作物の光合成を行う為の基本物質であり、これは特に重要となります。
冷凍冷蔵技術からの応用
温室管理者には、全ての種類の作物のニーズを満たす換気システムを簡単に設置構築できる選択肢があります。 その解決策としては、ebm-papstのAxiCool軸流ファンを採用する事です(図4)。
これはもともと冷蔵室用技術として開発されましたが、冷蔵室でも商品を新鮮に保つために温度分布が重要な要素だったのです。その技術を用いる事で温室でも理想的状態を作り出す事ができます。 それは高い位置で空気を吹き出し、しかも気流を正確に制御できる特長があります。
全体的な効率を向上させるために、AxiCoolファンの出口側にもガイドベーンが取り付けられています(図5)。 温室ガラスからの入射太陽光をできるだけ反射するために、ファンハウジングと取り付け部は白色としています。 耐用年数条件を満たすために、ファンは温室内の高湿度環境下でも使用出来るように特別仕様となっています。プラスチック部品は耐紫外線性の素材でできており、清掃も簡単です。 空気力学に基づくブレード設計により、軸流ファンも非常に静かに動作します。
米国ファーミントンにあるebm-papst USA社は、AxiCoolファンの設置システムを開発しましたが、簡単にファン高さ位置が調節可能となります。 これにより、作物の背丈に合わせてファンの位置を調整でき、作物の成長に合わせて気流高さが調整可能となります。 これにより、自然で最適な空気の動きに近く高出力の気流制御システムに、カスタマイズ機能が追加されました。
革新的な下方からの送風
チューブ換気システムには、ebm-papstのエネルギー効率の高い“backward-curved遠心ファン”、または、特に高静圧軸流ファンが使用されます(図6)。 空気は、作物の下に設置された穴あきチューブを通して供給されます。 軸流ファンは、通常「半閉鎖型」温室の空気処理チャンバーから調整(温度および加湿/除湿制御)された空気を取り入れます。
空気は最初チューブに押し込まれ設けられた複数の穴を通じて放出され作物間を上昇、還気流に導かれて戻ります。 その結果、空気の流れの循環回路が出来上がります。 このタイプの空気供給システムでは、葉の下側にCO2が最適に供給されます。 葉の下側は光合成を行う為にCO2を摂取する場所であり、特に効率的です。 ハイパワーのファンであり、長いチューブに接続使用する事ができます。 このシステムは、米国、スペイン、オランダなどのヨーロッパ諸国では、大規模な温室設備で最大限の収穫を得るための効率的な換気システム構築を可能とする、ソリューションとなっています。
省エネを簡単に実現
省エネ型ECモーターでファンを駆動させることも重要です。 BLDC(ブラシレスDC)モーターとも呼ばれる、商用電源仕様で永久磁石を用いた電子整流付き同期モーターは、クラスIE4をはるかに超える効率を誇っています。 カナダの革新的な設計の温室では、ebm-papst AxiCoolファンが採用されており、その電気代は、以前に使用されていた換気設備と比較して70%以上削減されました。
ECモーターには更に利点があります。それは制御特性です。 部分負荷運転での高効率運転を保持しながら、幅広い範囲で回転スピード制御が可能です。 これは、ファンが壁の表面の状態(滑らかまたは、突起や障害物がある)に応じた高速制御設定ができることを意味します。この正確な調整により、空気の流れの効率を最適化できます。 4〜20 mAまたは0〜10 VのインターフェースのMODBUS-RTUを使用して、必要に応じたファンスピード制御ができます。 またMODBUS通信インターフェースを使用する事で、最高の精度で温室内の状況に応じて複数ファン運転を構成し、その監視を行う事ができます。
理想的なエアソリューション
空気の供給と混合は作物の成長にとって重要な要素であり、ebm-papstの軸流ファンであれば正確に制御できます。
それらの最も重要な利点:
- 光反射の最大化のための、耐紫外線性の白色ハウジング
- 日陰を少なくするための省スペース構成
- エネルギー効率が高く、メンテナンスフリーのGreenTechECモーター
- 特に静かな運転音
- プラグアンドプレイで簡単に使い始められる、電子制御を備えたファンシステム
- MODBUS-RTU、4〜20 mAまたは0〜10Vでの状況に応じたスピード制御