世界的なエネルギー・マネージメント・リーダーであるENGIE社の一部門であるENGIE Services U.S.には、顧客のエネルギー節減を支援するという明確な使命があります。 慎重な準備と細部へこだわった配慮により、大規模なデータセンターでもその支援を実現します。
ダニエルオーエンにとって、健全な計画と詳細な分析は彼女の仕事を支える基本であり、全てのプロジェクトの成功のための重要な要素です。 オーウェンは、エネルギー・サービスプロバイダーであるENGIE Services U.S.(旧称OpTerra)の事業開発エンジニアリング責任者です。 彼女の仕事は、空調、照明、暖房など、あらゆるタイプの建物管理に於けるエネルギー節減方法を顧客へ提案する事です。主要なコロケーションデータセンター・オペレーター向けのプロジェクトは、詳細なインフラストラクチャのレビューから始まりました。 「私たちの顧客は、全米に40か所以上のデータセンターを持っています」「彼らはどのような対策が彼らにとって最も価値があり、それはどのポイントにあるのかを知りたがっていました。」とオーウェンは言います。
オーウェンと彼女のチームは、全てのデータセンターにおける電気代、既存のハードウェアとソフトウェアの構成、および消費電力データの分析に着手しました。彼らはこのデータを、さまざまな州のエネルギー価格および省エネ促進プログラムとを比較しました。 「ここには非常に大きな差異が生じるので、どの州の省エネプロジェクトにどのような削減案が利用できるか、そしてそれらをどのように取得するかを正確に知ることが重要です。」 ENGIE社は、エネルギー効率を高めるための改善が特に効果を発揮すると思われる3つのデータセンターを特定しました。1つは米国ニュージャージー州にあり、改善作業は実際に進行中です。
入念な調査
ENGIE社は既存のハードウェアと制御システムを詳しく調べて、現地でさらにデータを収集しました。 これに基づいて、同社は、すべての電灯を交換することに加えて、データセンターを冷却するための一連の受動的および能動的対策を網羅した提案書を作成しました。 ENGIE社は予想される節減量を数値で示し、計画全体を明瞭にしました。 「この手続きは、顧客に代わって補助金を申請するプロジェクトでは特に重要です」とオーウェンは説明します。 「すべての数値を含めて提案書全体は、プロジェクト開始前に独立した第三者によって精査されます。そして、補助金申請が承認されたとしても、後日、実際に節減が達成されたときにのみ支払われます。
プロジェクトがクライアントと監査機関の両方によって承認されると、ENGIE社の実行チームは計画実行に取り掛かり、さまざまな対策を並行して実施しました。 まず、データセンター全体の照明システムがLEDライトに切り替えられました。 センター全体の空気の流れを改善することはもう少し複雑でした。 ENGIE社は、ここで能動的手段と受動的手段の両方を採用しました。 受動的な対策には、コールドアイル(低温通風路)の設置と、サーバーラックに部分的に空きが有りコールドアイルに温度ギャップを生じさせえてしまう場所にバリアの設置を行われました。 最も重要な積極的な対策は、いわゆるアクティブフロアタイルの導入でした。 これらの穴あきフロアパネルには、それぞれ4つのECファンを備えたファントレイがあり、床下の特定の場所からサーバーラックに冷気を選択的に送ります。 全体で324個のファントレイがENGIE社によってデータセンターに設置されました。
ニーズに合わせて
「データセンター内を通る空気の流れを制御すること自体が芸術です」とオーウェンは説明します。 「特に、顧客が多いデータセンターでは、占有面積に応じて分散する熱負荷に大きな変動が生じます。アクティブなフロアタイルに投資する事で、空気の流れをより正確に制御できエアコンのスイッチを切ることもできるので高い節減効果を得られます。」このプロセスを可能な限り効率的にするために、ENGIE社は各フロアタイルに3つの温度センサーを接続し、そしてコンピュータールームエアコン(CRACユニット)の様にビル制御システムに接続しています。センサーで測定された温度が設定温度よりも低い場合、フロアタイル・ファンの速度を落とします。ラックが熱くなり始めると、フロアタイル・ファンが再びスピードアップします。これでも十分でない場合は、近くのスタンバイ状態のCRACユニットが起動し、より多くの冷気を供給します。 「エネルギー節減をしたいのに、余分なエネルギー消費を行うファンを設置することは、最初は矛盾のように聞こえるかもしれません。しかし、アクティブなフロアタイルは非常に効率的に機能し、活用する事で十分に投資対効果を得る事ができます」とオーウェンは説明します。
要求に合わせた納品
ENGIE社の1つの技術チームは、データセンタのオペレーションを止めることなくデータセンター内部設備を少しずつ改善することに精を出している一方で、別のチームは屋上で奮闘していました。 そこでは彼らはコンデンサーのファンを取り外し、ebm‑papstのAxiTopディフューザーを備えた224個のエネルギー効率の高いECファンに交換しました。 オーウェンは次のようにコメントしています。「この交換の大きな利点の1つは、ebm‑papstがユニットに合わせたファンを提供できることでした。また、同社は週に1回、少量の個数のファンを現場に納品しました。これは私たちにとって大きな助けになりました。 実は現場には限られたスペースしかなく、全ての必要部材を置くことが出来なかったからです。」 すべての対策が実施された後、ENGIE社のスタッフは数週間その場に留まり、システムを1つずつ試運転して微調整しました。 「ここでは、すべてのコンポーネントに最適な設定を段階的に見つけるという連続的なアプローチを採用しています。設定の詳細によって操作が効率的になるかどうかも決まるため、ここに多くの時間を割く事が重要と考えています。」
" 効率が著しく向上したことは、ニュージャージー州のデータセンターでのプロジェクトの数値によって示されます。現在ではオペレーターは年間730万キロワット時を節減できています。 これは、改善対策コストを2年以内に完済できる事を意味します。 データセンターの空気の流れが改善されたおかげで、112台のエアコンのうち53台をホット・スタンバイモードにすることができました。 Danielle Owen氏は、このようなプロジェクトによって効率の向上に対する意識も絶え間なく向上しているとコメントしています。「この5年間、通信事業者はデータセンターの効率化についてますます検討に力を入れています。効率の向上は彼らの収益に直接影響します。 場合によっては、より多くの顧客にサービスを提供する為に容量を上げる事も可能になるからです。」
サーバー用拠点
コロケーションデータセンターは、お客様に独自のサーバー機材を最適なインフラストラクチャ内に設置するサービスを提供します。 独自のデータセンターを持たない企業でも、データを安全に自身のハードウェアに保存できます。 コロケーションデータセンターの運営者にとってこのビジネスモデルは、さまざまな空調負荷に対して迅速で効率的かつ柔軟に対応できる空調システムが必要であることを意味します。