データセンターの成長に終わりはありません。 モバイルインターネット、クラウドコンピューティング、インターネットTVの近年の発展トレンドを見ると、データ量は増え続け、より大きな容量が求められています。 しかし、その結果、データセンターは主要なエネルギー消費産業の一つになりました。 したがって、さらに多くの演算負荷に対する継続的な需要増が考えられ、サーバー室冷却システム用のエネルギー効率の高いファンへの投資が不可欠となります。 最新のECテクノロジーは、消費電力の削減に大きく貢献し、環境とプロセスにおける運用業者のセンター運営コスト節減に役立っています。
今日、データセンターはあらゆる所に見つけられます。 これらのデータセンターでは非常に多くの排熱が発生するため、必要な電気エネルギーの約半分をハードウェアのみの冷却に使用する必要があります(図1)。 しかし、情報化時代は「黎明期」で立ち上がってきたばかりです。 データ量が多いほど、必要な冷却負荷が大きくなり、エネルギー消費量も大きくなります。 実際、同じ床面積でより高い計算能力が求められているため、ファンは直径を大きくすることなく、より多くの空気を排気させる必要があります。 たとえば、今日の精密空調ユニットでは、ダクトの断面が大風量用に設計されているため、冷却能力が改善され、気流の損失が最小限に抑えられています。
新しい要求条件への最適化
通常、データセンターには、精密空調ユニットが採用されています。 これらの空調ユニット(コンピュータールーム空調(CRAC)ユニットとも呼ばれます)は、データセンターとネットワークコントロールセンターを一定の温度と湿度に保持します。 この場合、熱交換器を備えたCRACユニットが使用されます(図2)。 CRACユニットの設計は、適切なファンの選択に大きく影響されます。ファンはかなり低い背圧条件に対応し、エネルギー効率が高く、運用コストを節約できることを確保すために、最適な動作点で動作することが必要になります。 データセンターでは、24時間稼働中すべての電力が計測されます。 この目的のために、モーターとファンのスペシャリストであるebm‑papst Mulfingenは、実証済みのRadiCal商品レンジを拡張しました(図3)。
RadiCalファンの動作点を、市場が望むより高い風量に合わせるためにインペラの形状が空気力学を用いて見直されました。 強力なシミュレーションツールである数値流体力学(CFD: Computational Fluid Dynamics)は、そのための大きな助けとなりました。数値最適化アプローチと組み合わせることで、全体として実際の違いをもたらす多くの個別詳細要素に対し改善を施す事が出来ました。 このように、インペラの幅、吸気領域のサイズ、ブレードの輪郭、およびブレードの厚さはすべて、大風量と低い静圧条件に適合されました。 前モデルと同様に、新しいインペラはガラス繊維強化ポリプロピレンで作られています。 最適化にもかかわらず、ファン外径と厚さは同じままです。 これにより、CRACユニットで利用可能な限られたスペースを最大限に活用できます。
高効率な大風量ファン
この特殊で先進的な開発のために、Mulfingenのエンジニアが空気力学に着目した結果は明白です。新しいRadiCalは、前モデルよりも大風量を提供するだけでなく、より効率的に動作します(図4)。 使用されているコンピューター支援最適化手法の活用により、新しいRadiCalインペラーは、以前のモデルよりも大幅に優れているだけでなく、現在、要求される空気性能範囲と効率において、世界最高のインペラーでもあります。 その前身は、12,000m³/ hの風量で61.5%の最大静的全体効率を達成しています。 RadiCalの最大効率68.5%は、13,000m³/ hの風量で達成されます。 新しいRadiCalインペラは、他のアプリケーションでも効率の向上につながる可能性があります。
新しいRadiCalインペラの効率の良さは、実際に取り付けられた状態でも示されます。 CRACユニットの同時並行稼働する3つのRadiCalファンを、以前と最新のモデルとを使用して比較しました。 その結果、最新ファンの消費電力量が10%以上削減されました。 インペラの損失が少なく、乱流が少なく、層流分離が少ないため、ファンはより快適な騒音特性も備えています。
効率的なGreenTechECテクノロジー
インペラ(羽根)は、同様に最適化されたGreenTech ECモーターに完全に合わせて調整されており、モーターのローターに直接ボルトで固定されています。 ファンインペラの空力形状とインペラ自体に統合されたECモーターにより、遠心ファンは効率的で省スペース構造を構成します(図5)。 GreenTech ECモーターに統合されたパワーエレクトロニクスにより、0〜10Vの制御信号またはModbusRTUを使用して、要求条件を満たすように速度を可変する事ができます。 部分負荷運転でも高効率は維持されます。
Modbus RTUインターフェースを使用すれば、制御信号で進行中の操作しながら多数の操作パラメーターを照会および監視することもできます。 オペレーターは、必要に応じて、変化する要求に迅速に対応するために、操作パラメーターをすばやく変更できます。 稼働時間を同時に記録することで、予防保守が容易になり、サービス時間を効果的に最小限に抑えることができます。 しかしサービス対応が必要な場合は、Modbus RTU通信により、影響を受けるファンを簡単に特定できます。 またフェイルセーフ機能により、バス通信に障害が発生した場合でも安全な運転が可能です。 ファンは単に現在設定されている速度で動作し続けます。
実用的で将来性があること
遠心ファンは、すべての一般的な線間電圧および周波数で使用できます。 さらに、設置は簡単で実用的です。 オプションの固定ブラケットにより、ファンの取り付け位置を変えることができます。モーターシャフトを水平または垂直に向けて取り付けることができます。 したがって、新しいRadiCalファンは、強力でエネルギー効率の高いCRACユニットに対し、実用的で将来性のあるソリューションです。