数多くの高層オフィスビルが立ち並ぶパリのラデファンス(La Défense)は、ヨーロッパ最大のビジネス地区です。 クーリングタワーの騒音ではなく、経済活動で賑わうのがふさわしい場所です。 幸いなことに、クーリングタワーの専門家であるJacirが問題解決のお手伝いができます。
ラ・デファンス(La Défense)の新しい一日の始まりです。 最初に パリのメトロ(地下鉄) 1号線から疲れた顔つきの労働者達が現れ、次にラデファンス(La Défense)の高層ビル達が目覚め、たくさんのガラスのファサードの後ろから明るい光が次々と差し込んできます。 しかし、クーリングタワーメーカーJacirは、夜通しの作業は殆ど終えています。 そこにJacirの手配で重量物を載せた車両が、早朝の通りをなに物にも妨げられることなく通り抜けてきました。7.6〜7.7メートルサイズの12個のステンレス製ボックスが、逆さまのキノコに似た建物の前に降ろされました。 そこは暖・冷房用水の供給会社 enerthermの心臓部と言っても良い設備で、ラ・デファンス(La Défense)の何十万人もの人々の家や職場を適切な温度に維持する責任を果たしています。 enerthermは配管システムにより冷房用冷水と暖房用温水を建物に直接供給しています。
しかし、彼らはこれまで解決すべき課題を抱えてきました。 enerthermのエネルギープラント用クーリングタワーは、老朽化が進んでいました。 このクーリングタワーは、冷凍機のコンデンサーから冷却水が奪った熱を大気に放熱するために使用されています。 enerthermは老朽化したクーリングタワーの漏水問題に対処する必要があり、またメンテナンスは複雑でした。そしてまた騒音問題もありました。最寄りの住宅および商業ビルは、このプラントからわずか50メートルの距離にあり、その騒音は古いタワーが発するレベルに達していました。
36台のカスタムメイド冷却塔
これは、Jacirにとっても大変印象的なプロジェクトでした。パリ南東部のポント・コンボー(Pontault-Combault)に拠点を置く冷却塔の専門会社は、エネルギービルの屋根の下に3段積みのカスタムメイドのクーリングタワー36台を設置する案件の入札に勝ちました。 Jacirのテクニカルディレクターであるアントニー ロビション氏(Antoine Robichon)にとって、何が評価されたかは明らかです。 「enerthermにとって価格が最重要事項ではありませんでした。何故なら競合他社よりも安価という訳ではありませんでした。それよりクーリングタワーの静粛性が重要でした。 図面上では競合他社のシステムも同様に静かでしたが、私たちのシステムがより実用的でした。 そしてebm‑papstの計算は完全に正しいことが証明されました。」
Jacirクーリングタワーから20メートル離れた場所に立つと、騒音値は37 dB(A)です。 これは、リビングルームで通常の音量で再生しているテレビよりも小さな音量です。 各クーリングタワーには9つのファンがあり、270,000m³/ hの空気を放出します。 「要求条件を満たすことができたのはebm‑papstのRadiPac遠心ファンだけだったのでした」とロビション(Robichon)氏は言います。
324台のファン
低騒音レベルとは別に2つの重要な要求条件があり、それはエネルギー効率と摩耗がないことでした。ファンの最適効率範囲は広く、定性的全体効率は最大68%です。 回転数コントロール可能なEC遠心ファンのアウター・ローターモーター(外周部ロータファン)は、ボールベアリングが長期間潤滑保持構造でメンテナンスを必要としません。 新しいクーリングタワーにより、enerthermは129メガワットの総冷却能力を達成できました。Jacirはenertherm用のクーリングタワーに1,000mmサイズRadiPacファンを合計324台設置しました。
プロジェクトでは3回に分けて搬入が行われました。そして高さ5メートルのエネルギービルの屋根に設置する必要があった12台のクーリングタワーの設置は容易な作業ではなく、実際に計画的で組織立った取り組みが求められました。 1,000トンのクレーンは昼間しか稼働できませんでしたが、重量搬送車の通行が許可されたのは夜間だけでした。 さらに、クレーンの運転手は、長さ100メートルのアームの先端の動きを目視できませんでした」とロビション(Robichon)氏は説明します。
しかし、冷却塔の配置はうまくいき、同時に市場でのJacirの評価は強固なものになりました。「それは私たちにとって重要なプロジェクトでした。 今後も新たに開発された技術の可能性を活用していきます」とロビション(Robichon)は語ります。